おいちゃんの森。

おいちゃんの頭の中。

介護・認知症について知っていること。

敬老の日にちなんだ日記第2弾。

 

前職で認知症対応型グループホームと有料老人ホームに勤めていたのですが

思っていたよりもずっと楽しくて、

認知症」や「介護」についてのイメージがかなり変わったので

体験を共有したいと思います!

いろんな現実・考えがあると思いますが、私が出会ったこと、考えたことを書きますので

家族や自分が認知症になったり、介護が必要になったりしたときに(認知症はかなり若い年齢でもなる可能性があります。)

思い出してくれると嬉しいです。

 

「介護」は進歩している。

まず入社後最初に驚いたのがこれです。

「介護」って聞くと、まず社会全体の中で負担が大きくなっていることや、「寝たきり」「徘徊」「虐待」といった暗いイメージが強い。私自身、縁あって(紆余曲折もあり…)介護施設に就職することになりましたが、初めは正直「介護」の仕事自体に興味を持っていたわけではありませんでした。

そんな私を見抜いたのか(見抜かれてたら困る)、上司が貸してくれたのが下記の本です。

 

認知症の人がどのように扱われてきたのか、写真付きで紹介されている本です。

これは結構衝撃的でした。

 

ベッド上の檻に入っているおばあちゃん。囚人のような繋ぎ服。

そろってショートカットor坊主の老人たちが、男女関係なく、裸でお風呂場に並ばされている様子。

何よりもショックだったのは、これがたった40年前の光景だということでした。

40年前にこんなひどいことが当然に行われていたというショックと、40年でここまで現実を変えてきた人たちがいるんだというショックです。

「介護」の仕事って、「人の役に立ちたくて」とか「ありがとうと言われるのが嬉しい」みたいなうさんくさいモチベーションで語られがちですが、社会を変革する、すごいイノベーティブな仕事じゃないかと思いました。(当時の私は「イノベーション」とか「クリエイティブ」という言葉が好きでした。笑)

 

「まだまだだけど、今までだって現場を変えてきた人がいて、これから変えていくこともできる」とその上司は言いました。

人口ピラミッドとか見ちゃうと先行き暗い感じしかしない介護の世界ですが、40年後はどうなっているかわかりません。掃除も介助もロボットが行えるはずなので、介護者はもっと本質的な仕事ができるようになります。

とにかく、明らかに「介護」は進歩している。悲惨orうさんくさいイメージを抱かれがちなのですが、個人的にはあまり悲観的にならなくて良いと思っています。

 

認知症になっても新しいことが覚えられる

認知症になってから携帯電話の操作を覚えた人、ギターが弾けるようになった人、富士山に登頂した人、認知症でも仕事を続けている人と出会いました。

思えばホームのおばあちゃんたちも、認知症になってから新しい人間関係を築いてきたわけで、そんなに驚くことでもないのです。

 

今までできていたことができなくなっても、今までできなかったことができるようになる。

人の名前や顔を忘れてしまっても、新しい人間関係を築いていくことができる。

認知症になったからといって終わりではない」と、多くの認知症当事者の方が発信しています。ぜひぜひ、読んでほしいなあ。

 

▼39歳で若年性認知症と診断された丹野さん。元トップセールスマンというのも納得の笑顔が爽やかすぎる素敵な方でした。

www.ashita-lab.jp

 

▼「病気は、意味とも価値とも幸不幸とも関係ない。」という言葉が印象的でした。病気自体は、幸不幸とは関係ないのです。

 

つながることで希望が見える

65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍と言われている認知症

社会問題としての側面が強調されるあまり、「恐ろしい」病気のように思われるかもしれませんが、上のお二人のように、自ら認知症であることを発信している人たちや、認知症を取り巻く現実を変えていこうとする人たちを知ると、希望が見えてきます。

そうした人たちが今、全国でつながって活動をはじめています。

認知症フレンドシップクラブ | 認知症フレンドシップクラブのホームページ

 

認知症」に悪いイメージがあるために、本人も家族も引きこもってしまい、事態が悪化することは多いのだろうなと思います。4人に1人ってかなり大きな割合なのだから、みんなが認知症をオープンにしてつながっていけたら、孤立して思い悩むことも減るのではと思っています。

 

 

人間「突然死ぬ」か「何らかの介護をされながら死ぬ」かの二択である、しかも自死を除き自分に選択権はないことを考えると、20代の内に「何らかの介護をされながら死ぬ」パターンを考える機会が与えられたということは、すごくお得だったなと思います。

老化以外にも、事故とか病気とかで介護が必要になる可能性はいくらでもあります。突然そんな事態になったとしても、失うものばかりではないこと、孤立する必要はないことを知っていれば、絶望しないでいられるかなと思って書きました。

「介護」とか「認知症」とかピンとこない人にも、いつか必要になったときに、ここで書いたことが役に立ったら嬉しいです。

 

ではでは。

 

▼個人的に面白かった本も紹介しておきます!興味のある人はぜひ。