10代のわたしに伝えたい。「ふっくら」の正体。
10代の頃、「ふっくらしてて可愛い」と言われるのがとても嫌だった。
その頃のわたしにとって、「可愛い」は「細い」とほぼ同義だった。
「ふっくらしている」は「太っている」を言い換えたようなもので、
「可愛い」とは共存できない概念だった。
とくにフェイスラインがふっくらしているのが気に入らず、
暇さえあれば小顔体操とか小顔マッサージにいそしんでいた。
そんなわたしの気も知らず、母をはじめとするおとなたちは、
わたしの容姿をほめるときに「ふっくらしてて可愛い」と言うのだった。
先日、ひさびさに美容院に行った。
成人式の後撮りだという女の子が髪の毛のセットをしている。
「ふっくらしてて可愛いなあ。」
自然とそう思って、自分でびっくりした。
彼女は確かにふっくらとしていて、それでいてとても可愛かった。
なんというか、「娘さん」っぽさなのだ。
「気立ての良い娘さん」というときの「娘さん」っぽさ。
10代後半の女の子が持つ、ほわっとした可愛らしさ。
それが「ふっくら」の正体だった。
26歳。
今、わたしは、ほっそりとしていくことに危機感を感じている。
わたしの「ふっくら」が消えていく。
具体的には、尻がなくなった。
尻がなくなると、ジーンズがずり落ちてきて履けない。
自然に任せていたら、きっと胸はナンになってしまうのだろう。
カレーについているナンである。
そんなわけで今わたしは、モリモリとごはんを食べ、
育児の合間に筋トレにいそしんでいる。
10代のわたしに伝えたい。
「ふっくら」は特権。
「ふっくらしてて可愛い」は真実。