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元気なお年寄りに学んだ長生きの秘訣

もうすぐ敬老の日ですね!

 

私は新卒で「認知症対応型グループホーム」に就職したのだけど、

そこはいわゆる寝たきりの人はいなくて、認知症ではあっても身体は元気なお年寄りがほとんどでした。

これ言うと「一番大変なパターンだね〜」と言われたりするのですが、多分暴れるとか徘徊するというイメージがあるのだと思いますが、そんなことはなくて楽しかったです。認知症についてはまた今度書きたいと思ってます。

 

さて、せっかく介護の仕事に就いたからには、長寿の秘訣を会得したいと思うのが人の性。今回はお年寄りを日々観察する中で知った、長寿の秘訣を伝授したいと思います。

 

房子さん(仮名)の場合

房子さんはいつも部屋をお掃除し、晴れた日には自分で布団を干し、ホームの草取りも手伝ってくれる元気ハツラツなおばあちゃん。

ですが、おかずをほとんど食べません。

お米だけは食べるのですが、おかずは「ご飯のお供」程度で毎食残していました。

元気がなければ心配ですが、超元気なので、最初は「ああやっぱり粗食が健康の元なのだなあ」「日本人には米だなあ」と思っていました。

 

しかし、房子さんの生い立ちを聞いているうちに何かが違うことに気づく。

「冬の寒い時期に生まれてね、母さんの身体が大変だったから私はボロに包まれてほっとかれたんだよ。」

「結局母さんは早く亡くなって、ヤギの乳を飲んで育ったんだよ。」

「小さい時に腸チフスが流行って、大人も子供もバタバタ死んじゃって。」

 

・・・房子さん生まれながらにしてタフすぎんだろ。

 

房子さんが生まれた時代(昭和初期)の乳児死亡率は100‰以上。(乳児死亡率=乳児死亡数÷出生数× 1000)

第2表 人口動態総覧(率)の年次推移 (2-1)|平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

一年間生き抜こるだけで大変な時代・・・ちなみに今は2.1‰(平成26年)です。

 

ツルさん(仮名)の場合

ツルさんは大正生まれ。房子さんと違い、しっかり食べる方ですが、

好き嫌いがめっちゃ多い方でした。

トマトは嫌いだとか高野豆腐は好きじゃないとか言って食べません。そして甘いコーヒーとお菓子が大好き。

「小さい頃から嫌なものはいっそ(全く)食べねえで親困らせた。」とのこと。三つ子の魂百までというやつですね。

ツルさんは本当に小さい子みたいに「嫌だ嫌だ〜食べたくねえ〜」と言うので、

「こらっ!身体にいいから食べなさい!」と言いたくなるのですが、

全く説得力がないですよね。

90歳超えてて元気なばあさんを前にして何が言えるだろうか。

 

ちなみにツルさんにはご兄弟がいらっしゃいますが、好き嫌いを言っていたのはツルさんだけだったとのことで、ご兄弟は皆さんすでに亡くなられています。不条理。

 

結論

房子さん、ツルさんをはじめとするお年寄りと過ごして知った長寿の秘訣。

それは、「優秀な遺伝子」だという結論が出ました。

介護施設での経験からは私自身が長生きするためのヒントは何も得られませんでした!くそう!!時代が違いすぎる!!!生命力に差がありすぎる!!

そんなわけで全く参考にはならなかったわけですが、今のお年寄りは決して栄養状態も衛生状態も良くない時代に感染症にも戦争にも貧乏にも屈することなく生き延びた方々ということがわかり、以前よりも敬老の思いが強くなりました。

 

いつまでもお元気で、というわけにはいかないけれど、ここまで生き抜いたことに誇りを持って余生を生きて欲しいです。