お母さんは、安心していてください。
去年の今頃、私は妊婦だった。
予定日は11月末。8月くらいから「大きめの赤ちゃんですね〜。」と言われていて、11月に入った頃には「下から出てこれるかな…?」くらいの大きさになっていた。
姉が緊急帝王切開になって大変そうだったこともあり、難産になるならあらかじめ帝王切開にしてほしい、と伝えたが、
帝王切開は母体にかかる負荷が大きいしリスクを伴うので、本当に必要な時以外はしない、と却下。
(お恥ずかしながら、この時まで帝王切開の方が楽だし安全そうと思っていた…ごめんなさい。)
初めてのお産が難産になるかもしれない。不安だった。
お医者さんに「安産のために何かしておいた方がいいことはありますか?!」と聞くと、
「そうですね…赤ちゃんのタイミングもあるので、お母さんにできることってそんなにないんですよ。お母さんは、安心していてください。大丈夫ですよ。」と言われた。
(脳内イメージ:綾野剛)
診察の後の助産師との面談でも「ウォーキングと雑巾掛けがいいって聞いたんですけど、どれくらいやればいいですか?!」と聞いたところ、
「うんうん、やりたかったらやってもいいよ。でも無理しないでくださいね。ゆっくりお風呂にでも入って、リラックスしてるのが一番だから!」と言われた。
(脳内イメージ:吉田羊)
「これをしとくといいですよ!」というアドバイスをもらいたかったので、その時はなんとなく物足りない感じだったのだけど、
この一年を振り返ってみると、「お母さんにできることはそんなにない。お母さんはとにかく安心しているべし。」という心得にいつも助けられているように感じる。
妊婦も含め母親は、「お子さんのためにお母さんにできることはこれだ!」という情報に囲まれる。
というか、お母さん自らがそんな情報を探しにいく。子どものためにできることはなんでもしてあげたい、と思うから。
しかし、その誰かが発信している「できること」の中には、「お子さんのため」になるというエビデンスがない/薄いものも多くある。
「やりたかったらやってもいいけど無理しないでね」レベルのことでも、「こうすべし!こうしないといけない!」と書かれていたり(母乳関連は特に…)。
そういう情報の中には「ひいてはこれを買ってください/これに登録してください/この習い事をしてください」という商売に紐づいているものも多い。
優しく、柔らかい雰囲気をまといながら、“お母さんの不安に寄り添う”形で、ちょっと気になっているところをちょんちょんとつついてくる。あからさまに不安を煽ってくるものもある。
良い結果に結び付けば、何を信じたって何を買ったっていいとは思うけど、
「こうしなきゃ!」というプレッシャーになったり、「こうなるはずなのに…!」という苛立ちになったり、ただでさえ大変な育児をもっと大変にしようとする情報も多いように思う。
いろんな育児情報に接して不安がわいてきたときには、「お母さんにできることはそんなにない。お母さんはとにかく安心しているべし。」という心得を思い出すようにしている。
子どもとしても「あなたのためにこれだけ頑張ったのよ」「あなたのためにこんなにやったのに」と言われる(思われる)より、
「特に何もできないけど、あなたは大丈夫。」と言われる(思われる)方がだいぶ気が楽じゃない?
綾野剛に「お母さんは、安心していてください。」とか言われたらマシュマロになってしまうな〜。
毎週金曜日が楽しみなおいちゃんでした。